高齢化、核家族化に伴い、近年は「墓じまい」が増えている。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、全国の一年間の「墓じまい」件数は2011年には約7万7000件であったものが、2021年には11万9000件に増加している。
実家が遠方にある場合には、年に数回のお墓参りもなかなか大変な行事である。実家も無くなりお墓だけが遠方にある方も少なくないであろう。
ましてや高齢になり移動が大変なこともさることながら、お盆やお彼岸に久しぶりに訪れたお墓、雑草は生え放題で墓掃除で大汗をかくことも多いのではないだろうか。
このような背景もあり、また、自身の次の世代に負担を掛けないためにも「墓じまい」を考える方が増えていても仕方がない。
然しながら、数十年、いや百数十年、先祖代々お世話になってきた菩提寺への気遣いもありなかなか踏み切れないことも事実である。
墓じまいの手順(改葬と言います)
・菩提寺への承諾(離檀料が必要になる場合が多い)
・お墓の撤去前に墓石から魂を抜く「閉眼供養」(お布施必要)
・墓石の撤去、更地に戻す・新しいお墓の建立 ※永代供養などは別
・新しいお墓での墓石に魂を入れる「開眼供養」(お布施必要)
手続き
・遺骨の移転先が発行する「受け入れ証明書」
・元の墓地から受け取る「埋葬証明書」
・元の墓地の自治体が発行する「改葬許可申請書」上記を墓じまいする自治体役所に提出し、「改葬許可証」(注:遺骨1柱に一通必要)を発行してもらう。「改葬許可証」が無いと「遺骨の取り出し」や移設先での埋葬は出来ない。
かかる費用(お墓の大きさや地域によって費用は変わる。また、手続き費用も菩提寺や役所によって違う)
・離檀料(菩提寺にもよるが法事1回から数回分程度)
・お墓の撤去費用 1平方メートル、10万円から20万円、墓石処分料5~20万円
・閉眼供養料(菩提寺よって違うが1万円~5万円程度)
・開眼供養料(上記同様)
・お墓の建立費用 これも大きさや墓石の種類、地域によって様々であるがおおよそ百万円~三百万円程度は必要な場合が多い(永代供養などは別途)
※檀家離れに悩む全国のお寺にとっては貴重な収入源である檀家料や法事などのお布施が減ることは寺の存続にかかわる重要な問題である。離檀料に決まった金額はないが、先祖代々を供養してきてくれたお寺さんに対しては、それ相当の金額は必要になるであろう。
生まれた土地に先祖代々のお墓があるが既に実家も無く、帰ってくる身内も居ない。
これまでお墓の面倒を見ていた方も高齢になり、次の世代に負担をかけるわけにもいかず・・・。
このような方は上記の内容を参考にされ、近い将来を考えていかれる必要があるのではないでしょうか。